診療科皮膚科
更新日:皮膚疾患の原因検索や治療から予防まで
当院皮膚科は日本皮膚科学会専門医研修指定施設であり、また、地域の基幹病院として近隣の病院やクリニック・医院と連携した医療を重視しています。救急症例、難治疾患にも真摯に対応し、地域医療への貢献をめざします。皮膚の症状改善のみでなく、発症原因の検索や今後の再発再燃予防まで、患者さんとともに向き合ってまいります。
皮膚科部長
田中 文
対応疾患
皮膚良性・悪性腫瘍 | 皮膚良性・悪性腫瘍の診断、集学的治療(一部他科と連携あり) |
難治性皮膚潰瘍 | 血液検査、画像検査や生検での診断と加療 |
感染症 | 入院加療に対応(帯状疱疹、蜂窩織炎、丹毒など) |
蕁麻疹、アレルギー | 原因検索と抗体治療を含む各種治療のほか、日常生活での注意点などの検討 |
アトピー性皮膚炎 | 悪化要素の検索、スキンケア指導および生物学的製剤を含む各種治療 |
薬疹 | パッチテスト、プリックテストでの診断 重症例は入院加療 |
水疱症・膿疱症 | 生検、血液検査での診断 重症例は入院加療 |
乾癬・関節症性乾癬 | 生物学的製剤を含め、症状に応じて治療法を選択 |
特色・強み
・種々の良性悪性腫瘍に対し、ダーモスコピーや表在エコーによる補助診断や皮膚生検による病理組織診断を行います。悪性腫瘍は外科的治療、化学療法、放射線治療を適宜院内各科と連携して行います。(悪性黒色腫への免疫チェックポイント阻害薬などを含めた集学的治療も行っています。)
・生物学的製剤使用承認施設であり、乾癬・関節症性乾癬やアトピー性皮膚炎に対する生物学的製剤治療が可能です。
・重症薬疹、水疱症などの重症例は入院の上でステロイドパルス療法や大量ガンマグロブリン療法などを行います。
・アレルギー検査としてパッチテスト、プリックテスト(アナフィラキシーの検査は入院必要)などを行います。
主な手術・検査・設備等
ダーモスコピー
皮膚色素性病変を拡大して観察し、診断します。
皮膚生検
皮膚を一部採取して病理組織診断を行い、治療方法を決定します。
手術(外来)
皮膚皮下腫瘍摘出を通院で局所麻酔下で行います。
手術(入院)
手術の程度によっては入院で加療します。
エキシマ紫外線療法
尋常性乾癬、尋常性白斑、掌蹠膿疱症、円形脱毛症、アトピー性皮膚炎などの難治性皮膚疾患の治療に用います。
実績
2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | |
---|---|---|---|---|---|
外来手術件数 | 191 | 300 | 198 | 158 | 163 |
生検数 | 264 | 430 | 305 | 442 | 472 |
ダーモスコピー件数 | 136 | 112 | 169 | 323 | |
紫外線療法(2022/1-) | 86 | 288 |
原著、総説、著書
年 | 題名 | 著者 | 著書・誌名 |
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2019 | シェーグレン症候群に合併した皮膚AAアミロイドーシス | 山下 千佳・田中 文・白井 洋彦・園延 尚子 | 皮膚病診療 |
2019 | Localized cutaneous adverse event induced by Anastrozole as adjuvant treatment for breast cancer: a case report. | Tanaka A・Yamashita C・Hinogami H Shirai H・Yamamura J | Case Rep Dermatol. |
2019 | Case of dermatomyositis during treatment with pembrolizumabfor lung cancer. | Hinogami H・Yamashita C・Tanaka A Shirai H・Nakano Y・Matuura Y | J Dermatol |
2019 | Alogliptin-induced bullous pemphigoid associated with HLA-DQB1*03:01: a case report | Takada Y・Higashiyama M・Tanaka A Suzuki S・Miura H・Fujiwara S | Int J Dematol |
2020 | Cytomegalovirus-induced vasculopathy and anogeniral skin ulcers in a patient withmultiple myeloma. | Tanaka A・Yamashita C・Hinogami H Shirai H・Matsuura A | JAAD case reports. |
2020 | Symmetrical drug-related intertriginous and flexural exanthema (SRRIFE)と考えられる薬疹 | 山下 千佳紗・田中 文・白井 洋彦・浜田 禅 | 皮膚病診療 |
2020 | Tosufloxacin-induced acute generalized exanthematous pustulosis confirmed by a drug-induced lymphocyte stimulation test. | Takahiro Mizuta, Aya Tanaka | JAAD case rep |
2020 | Development of toxic epidermal necrolysis in a coromavirus disease 2019 patient with recurrence of positive SARS-CoV-2 viral RNA. | Aya Tanaka, Moeko Isei, Chiaki Kikuzawa, Haruna Hinogami, Koji Nishida, Iwao Ghoma, Yoshihiko Ogawa | J Dermatol |
2021 | ペムブロリズマブ投与中に中心壊死を伴う苔癬様皮疹を発症した1例 | 爲政萌子、田中 文、菊澤千秋、中野仁夫 | 皮膚の科学 |
2022 | Stevens-Johnsons syndrome/toxic epidermal necrolysis-like acute cutaneous lupus erythematosus in a patient with systemic lupus erythematosus | Aya Tanaka, Shota Bunn | J Cutan Immunol Allegy |
地域の医療関係者の方へ
腫瘍や母斑、潰瘍などで、どの科に紹介するか判断が難しい場合は皮膚疾患センター宛てにご紹介ください。まず皮膚科で診察し、症状に合わせて皮膚科または形成外科、必要であれば同日に双方の科で対応いたします(それ以外の科との連携は同日に行えないことがあります)。皮膚疾患センターは通常診察日午前9時30分での診察予約となります。
地域の患者さんへ
皮膚のトラブルは、生活の質を大きく低下させます。適切な診断、投薬のみではなく、原因検索や今後の予防対策など患者様と我々スタッフが協力してより良い治療を進め、患者さんのQOLの向上を目指します。
研究発表
令和元年度
開催日 | 学会等 | 演題 | 演者 |
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6月6日-6月9日 | 第118回日本皮膚科学会総会 | 当院における免疫グロブリン大量療法後に血小板減少をきたした水疱性類天疱瘡の検討 | 山下千佳紗、田中文、白井洋彦 |
6月15日 | 堺市 堺市薬剤師会研修会 | アトピー性皮膚炎の病態と治療~標準治療と最近のトピックス~ | 田中文 |
7月18日 | 当院内会議室 Web病診連携の会(近隣診療所対象) | 過酸化ベンゾイル、アダパレンの効果が期待できる疾患・当院皮膚疾患センターのご紹介 | 田中文 |
7月24日 | 堺市 サノフィ社員研修会 | アトピー性皮膚炎 当院での取り組みと最近のトピックス | 田中文 |
9月7日-9月8日 | 第71回日本皮膚科学会西部支部学術大会 | SLEに合併した片側性肢端紅痛症の一例 | 文省太、菊澤千秋、日野上はるな、田中文 |
10月5日-10月6日 | 第70回日本皮膚科学会中部支部学術大会 | 小児皮膚筋炎の一例 | 菊澤千秋、文省太、田中文、白井洋彦、馬場皆人、岡村隆行 |
10月26日 | 第475回日本皮膚科学会大阪地方会 | 露光部優位の浮腫性紅斑及び両上肢の浮腫を認めた抗TIF-γ抗体陽性皮膚筋炎の一例 | 文省太、菊澤千秋、日野上はるな、田中文、平山健寛、中林晃彦 |
11月2日 | 堺市 アトピー性皮膚炎 チーム医療セミナー(近隣病院診療所対象) | アトピー性皮膚炎の診断と治療 当院での取り組みと目指す役割 | 田中文 |
11月21日 | 当院内会議室 堺市皮膚科医会 | 当科におけるアトピー性皮膚炎の治療について | 田中文 |
12月5日 | 堺市 アメナリーフweb病診連携の会(近隣診療所対象) | 堺市立総合医療センター皮膚科における帯状疱疹治療・当院皮膚科のご案内 | 田中文 |
12月7日 | 第476回日本皮膚科学会大阪地方会 | 片側性に慢性持続性の眼瞼腫脹を生じた1例 | 菊澤千秋、文省太、田中文、伊東良太 |
2月1日 | 第477回日本皮膚科学会大阪地方会 | T細胞優位の皮膚病変を認めたMTX関連リンパ増殖性疾患の一例 | 文省太、菊澤千秋、田中文、枡田元 |
令和2年度
開催日 | 学会等 | 演題 | 演者 |
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9月26日 | 第479回日本皮膚科学会大阪地方会 | 右腋窩の異所性乳腺に生じた乳癌を疑われた1例 | 菊澤千秋、文省太、田中文 |
10月11日 | 第71回日本皮膚科学会中部支部学術大会 | SARS-CoV-2再陽性患者に生じた中毒性表皮壊死症(TEN) | 爲政萌子、田中文、菊澤千秋、小川吉彦、西田幸司、郷間厳 |
10月24日 | 第72回日本皮膚科学会西部支部学術大会 | erosive pustular dermatitis of scalp(EPDS)の1例 | 菊澤千秋、文省太、田中文 |
12月5日 | 第481回日本皮膚科学会大阪地方会 | ペムブロリズマブ投与中に急性痘瘡状苔癬状粃糠疹(PLEVA)を発症した1例 | 爲政萌子、田中文、菊澤千秋 |
令和3年度
開催日 | 学会等 | 演題 | 演者 |
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5月22日 | 第485回日本皮膚科学会大阪地方会 | COVID-19加療中に中毒性表皮壊死症(TEN)を発症し、カポジ水痘様発疹症を併発した1例 | 爲政萌子、田中文、菊澤千秋、村田賢哉、新井達也、小川吉彦、西田幸司、郷間厳 |
5月22日 | 第485回日本皮膚科学会大阪地方会 | 食道癌術後再発による化学療法中に生じた腫瘍随伴性手指壊疽の1例 | 金田恵美、田中文、菊澤千秋、爲政萌子 |
9月19日 | 第85回日本皮膚科学会東部支部学術大会 | 播種状丘疹様の特異疹を伴ったCALR遺伝子変異陽性の原発性骨髄線維症 | 爲政萌子、田中文、出野りか子、中田潤、杉原文徳、松浦愛、柴野賢、安原裕美子、中塚伸一 |
11月21日 | 第71回日本皮膚科学会中部支部学術大会 | 当科におけるCOVID-19感染患者に生じた皮疹のまとめ | 爲政萌子、田中文、出野りか子、小川吉彦、西田幸司、郷間厳 |
12月11日 | 第488回日本皮膚科学会大阪地方会 | 膵癌に対するゲムシタビン・nabパクリタキセル療法中に生じた偽蜂窩織炎の1例 | 小川亮、田中文、爲政萌子、出野りか子、北川彰洋 |
2月5日 | 第489回日本皮膚科学会大阪地方会 | 人工毛植毛後の頭皮瘢痕に有棘細胞癌を生じた1例 | 出野りか子、田中文、爲政萌子、米谷公佑、門脇未来、中島義和、安原裕美子 |
令和4年度
開催日 | 学会等 | 演題 | 演者 |
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10月29日 | 第73回日本皮膚科学会中部支部学術集会 | 慢性骨髄性白血病の治療中に環状線維融解性巨細胞性肉芽腫を生じた1例 | 笹岡佑輔、田中文、爲政萌子 |
11月19日 | 第86回日本皮膚科学会東京支部学術集会 | 血管炎との鑑別を要した壊疽性膿瘡の1例 | 爲政萌子、田中文、出野りか子、浅川真理、安原裕美子 |