部門小児疾患センター(小児科)
更新日:子どもを第一に考えた診療と療養環境を提供します
外傷などで救急外科や整形外科で診療されるお子さんや、手術のため耳鼻科・口腔外科・脳外科などを受診するお子さんも多数います。どの診療科に受診されても、年齢に応じた医療を提供し、成長・発達を見守ることができるようにしています。
また、小児の急性疾患の治療を中心に診療をおこない、小児救急搬送を積極的に受け入れています。堺市内での小児の救急搬送の約半分を受け入れており、地域の小児医療に貢献していると自負しています。
疾患にとらわれない幅広い診療と、成長と発達という小児の特性を重視した診療を心がけています。
小児疾患センター長
岡村 隆行
対応疾患
小児の感染症 | 風邪や肺炎などの呼吸器感染症、膀胱炎や腎盂腎炎なとの尿路感染症などこどもが罹患する感染症一般に対応します。RSウイルスやインフルエンザなどが重症化したときにも対応します。 |
神経疾患 | 熱性けいれん、無熱時のけいれんや意識障害に対して初期対応を行い、状況に応じて脳波やCT/MRI検査などを行います。また、てんかんの長期管理を行います。頭痛などに対する精密検査も行い、原因に応じた治療をおこないます。 |
アレルギー性疾患 | 食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、花粉症、喘息などの診断・治療を行います。食物アレルギーに関しては、血液検査だけでなく食物負荷試験を行いアレルギーの有無の診断や食べられる量の設定を行います。花粉症に舌下免疫療法も行っています。喘息に関しては、血液検査や胸部レントゲンのほかに種々の呼吸機能検査を行い治療方針を決定します。 |
内分泌疾患 | 低身長の精査(成長ホルモン分泌負荷試験)や治療(成長ホルモン補充療法)を行っています。糖尿病に対する食事療法やインスリン治療、小児肥満・メタボリックシンドロームについて原因を明らかにして、成長にあった目標体重を設定し、家族の生活習慣・食事を指導、治療を行っています。その他、思春期早発症や甲状腺疾患等の診断と治療も行います。 |
泌尿器疾患 | 繰り返す尿路感染症に対してMRI検査や逆行性排尿時膀胱尿道造影検査(VUCG)などを行い尿路の異常の有無などを診断します。また血尿・蛋白尿の原因の検査や治療を行います。年長児では、腎臓内科と協力して腎生検も行います。学童期の夜尿に対する生活指導や薬物療法・アラーム療法も行っています。 |
循環器疾患 | 川崎病の診断を行いガンマグロブリン製剤とステロイド剤による治療を行います。また、治療後に定期的な心臓エコー検査などの長期フォローも行います。心雑音や不整脈に関して、心電図検査・心臓エコー検査・トレッドミルなどによる精密検査などで診断し治療に結びつけます。 |
血液疾患 | リンパ節の腫大や貧血、白血球増多・減少、血小板減少などに関して血液検査、フローサイトメトリーによるリンパ球サブセットの解析等を行い診断します。血友病の管理も可能です。高校生~若年成人の白血病治療も行います。 |
その他 | 乳児血管腫(いわゆる苺状血管腫)に対する薬物療法を行っています。また、保健センターなどで行われる乳児検診や学校検診などで精査・要治療と判定された場合(血尿・蛋白尿、心雑音、体重増加不良、低身長など)の精査・治療も行っています。 |
特色・強み
救急疾患の対応に力を入れており、隣接する堺市こども急病診療センターからの緊急受け入れも行っています。入院を要する場合も速やかに対応可能であり、事情により保護者の付き添いができない場合でも可能なかぎり対応しています。
通常診療においても中等症~重症にも対応し、必要に応じて高次医療機関(大阪母子医療センターや近畿大学病院など)への紹介・転院もおこなっています。また、入院したお子さんは担当医だけではなくチーム医療を重視し、小児科全員で診療方針を決定しています。
急性期疾患に限らず慢性期疾患にも対応し、かかりつけの小児科医と連携して診療をおこなうよう心がけています。疾患によっては成人期まで診療を行い、成人科へのスムーズな移行をおこなっています。
入院された場合の療養環境の充実にも力を入れており、複数名の病院保育士の配置、わくわくるーむ(プレイルーム)の充実、季節に応じた病棟イベントやクリニクラウンの病院への定期訪問も行っています。また、手術室や検査に行く際の不安を和らげるため、乗り物(さかい号)やホスピタルアートを取り入れ、子どもたちが安心して医療を受け入れられるように工夫しています。
なお、当院はNICU(新生児集中治療室)がないため、出産直後の新生児疾患は地域周産期母子医療センター等へ搬送させていただいております。
主な手術・検査・設備等
小児の感染症
血液検査(抗体価等の測定も含む)、迅速検査(インフルエンザ、RSウイルス、アデノウイルス、溶連菌など)。その他培養検査。
神経疾患
CT、MRI、脳波検査、筋電図(年長児以上)など。
アレルギー性疾患
血液検査、プリックテスト(皮内反応)、食物負荷試験(日帰り入院)など。
喘息には呼吸機能検査、モストグラフ、NO測定など。
内分泌疾患
血液検査、成長ホルモン分泌負荷試験など。
泌尿器疾患
超音波検査、MRI、CT、逆行性排尿時膀胱尿道造影検査など。
循環器疾患
心臓超音波検査、心電図、ホルター心電図、トレッドミルなど。
血液疾患
血液検査、骨髄検査など。
さかい号
クリニクラウン
わくわくるーむ
様々な行事
実績
2018年度 | 2019年度 | |
---|---|---|
小児科 | 1,311 | 1,475 |
救急外科 | 45 | 33 |
外科 | 3 | 9 |
整形外科 | 42 | 49 |
耳鼻科 | 36 | 40 |
脳神経外科 | 11 | 2 |
歯科口腔外科 | 13 | 15 |
形成外科 | 17 | 19 |
婦人科 | 1 | 3 |
泌尿器科 | 1 | 0 |
2018年度 | 2019年度 | |
---|---|---|
全入院患者数 | 1,346 | 1,468 |
肺炎・気管支炎 | 245 | 334 |
熱性痙攣 | 199 | 217 |
RSウイルス感染症 | 102 | 139 |
気管支喘息 | 103 | 102 |
咽頭炎・扁桃炎(上気道炎) | 88 | 119 |
食物アレルギー(アナフィラキシーと検査を含む) | 47 | 61 |
インフルエンザ感染症 | 111 | 101 |
胃腸炎 | 125 | 86 |
川崎病 | 50 | 33 |
てんかん | 32 | 32 |
低身長精査 | 22 | 20 |
地域の医療関係者の方へ
■緊急性を要する場合:疾患にかかわらず緊急性を要する場合や当日の診療が必要な場合は、地域連携センターを介してご連絡ください(時間外や事情がある場合は小児科医へ直接連絡していただいてもかまいません)。
■専門性を要する場合:原則として専門外来への直接の受診はできません。当院医師の診察後に専門外来診療の必要性を判断させていただきます。ただし、高度な専門性を必要とするご紹介は、あらかじめ当院小児科医にご連絡いただくことで、適切に対応します。
■地域連携に関して:日常の診療はかかりつけ医の先生で、入院治療や特殊な検査(呼吸機能検査やMRI、食物負荷試験など)は当院で施行するという関係を大切にしております。特にアレルギー疾患や神経疾患での連携を強化したいと考えています。気軽に検査や入院に関するご要望を伝えてください。
外科系疾患でも当院で対応できる小児疾患ならば、小児病棟での対応が可能です。また、付き添いが困難な場合でも極力対応できる様にしております。小児の紹介・入院に関して疑問点があれば、担当科あるいは小児科までお問い合わせください。
地域の患者さんへ
入院の理由となった病気以外のことでも、気になること、発達や育児の疑問点等があれば遠慮なくスタッフに相談してください。
また、入院治療を強いられることは大変なことであり、子どもさんにも大きなストレスとなります。少しでも子どもさんや保護者の方々のストレスを緩和するように努めたいと思っています。また、ストレスの多い入院中であっても、子どもさんの意外な一面や成長に気づくことができればと願っています。
外来受診について:平日9-11時は予約や紹介状がなくても診療いたします。それ以外の時間の受診は医療機関からのご連絡(ご紹介)が必要です。まずは、かかりつけ医あるいは急病センター等へ受診されるようお願いいたします。なお、緊急を要する場合は救急搬送依頼(119番)をしてください。
入院治療について:担当医を決めていますが、小児科医全員で診断を確認し治療方針を決定しています。診療内容に疑問等あれば医師・看護師を問わずお尋ねください。お子さんの不安や恐怖を軽減するために付き添いを推奨しますが、事情により難しい場合はスタッフにご相談ください。
研究発表
開催日 | 学会等 | 演題 | 演者 |
---|---|---|---|
2019年6月1日 | 堺市医師会小児科医会第293回学術集会 | くすぶる発熱に対しシクロスポリンの追加治療が奏効した川崎病の1例 | 川上 展弘 |
2019年6月1日 | 堺市医師会小児科医会第293回学術集会 | 起因菌を同定できず治療に難渋した髄膜炎・硬膜外膿瘍の1例 | 高野 良彦 |
2019年6月1日 | 堺市医師会小児科医会第293回学術集会 | 難治性アトピー性皮膚炎を疑われた若年性皮膚筋炎の2歳女児例 | 馬場 皆人 |
2019年9月7日 | 堺市医師会小児科医会第293回学術集会 第9回堺小児救急フォーラム | 堺市こども急病診療センターから緊急に後送された症例について | 岡村 隆行 |