診療支援部門臨床検査技術科
更新日:私たちは、医師が患者さんを診療するための不可欠な検査を実施しています。
患者さんから採取した血液や尿などの検査から心電図や超音波などの生理検査を多岐にわたって検査し、迅速かつ正確な情報を提供し、昨今の感染症検査についても最善を尽くしています。また、夜間・休日を含めた終日24時間、質の高い検査と緊急輸血に対応できる体制を整え、専門的な知識と高い技術をもって信頼される検査科を目指します。
佐々木 伸也ささき しんや
検査室の取得認定・認証
臨床検査技術科では、2022年3月4日にISO15189認定を取得しました。
ISO15189とは、公益財団法人 日本適合性認定協会による臨床検査室に特化した国際規格であり、技術と能力が国際的な基準を満たしていると評価された証となります。
また、日本臨床衛生検査技師会と日本臨床検査標準化協議会が合同で共に認証する「日臨技品質保証施設認証制度」も取得しています。日臨技品質保証施設認証制度とは、検査室が標準化や精度管理を積極的に行い、精度の品質が保証されている施設が認証される制度です。
当科では、今後も患者さんや医師から信頼される良質な検査情報の提供に努めてまいります。
体制
- 臨床(衛生)検査技師:40名
- 採血室勤務看護師:6名(准看護師含む)
- 検査補助員:2名
業務内容
外来採血室
臨床検査技術科の管理の元、患者さんの安全、安心を守り、患者さんの待ち時間の短縮や検査結果を早く返す運用を心がけています。
検体検査
生化学・免疫検査
生化学・免疫検査とは、血液や尿に含まれる様々な成分を分析することで、種々の臓器の状態や糖代謝、悪性腫瘍、血中薬物濃度、感染症の診断や治療効果などを把握する検査です。緊急性の高い項目は24時間検査実施可能であり救急診療に貢献しています。これらの検査精度を担保し、精確で迅速な検査を目指しています。
一般検査
尿蛋白、尿糖、尿潜血などの尿定性検査、尿中の赤血球・白血球・上皮細胞などを調べる尿沈渣検査を主に行っています。尿検査は患者さんへの侵襲なく腎臓や尿路系の状態を把握できる重要な検査です。その他にも便潜血検査、髄液・胸水・腹水・関節液などの穿刺液検査、寄生虫検査、インフルエンザウイルスやRSウイルスなど各種ウイルス検査、LAMP法を用いての結核菌やマイコプラズマの遺伝子検査など幅広く行っています。
血液検査
赤血球数や白血球数、血小板数などの血球算定検査、白血球分類を行う血液像・骨髄像検査、また体内での血液凝固評価を行うために不可欠な凝固線溶検査を主に行っています。血液分析装置による白血球分類にて異常所見がある場合、標本を作製し1つ1つ技師による顕微鏡下目視によって血球形態を確認・判断します。白血病などの血液疾患が疑われるケースでは血液内科医をはじめ臨床医と密な連携を取ることで精度の高い診療へと繋げています。
また、フローサイトメトリー検査も院内で実施しており、リンパ球サブセット検査や造血器腫瘍解析など、より専門的検査の即日報告を可能にすることで、正確で迅速な診療体制に貢献できるよう尽力しています。
輸血検査
輸血に関連するABO血液型、不規則抗体検査、交差適合試験などの検査と、赤血球製剤や新鮮凍結血漿などの輸血製剤を適正に保管・管理することを主に行っています。また輸血管理システムと輸血検査装置を用いて、24時間体制で安全かつ迅速な輸血療法に貢献しています。
新型コロナウイルス関連検査
新型コロナウイルス検査として、当院ではPCR検査や抗原定量検査の機器を導入し検査を行っています。PCR検査は結果報告まで時間が掛かるのに対し、抗原定量検査はPCR検査よりやや特異度が劣りますが、1時間程度で結果報告ができ、迅速に診断を行う事が可能となります。院内で新型コロナウイルス感染症検査を実施することで、患者さんが安心して医療を受けられる体制を整えています。
細菌検査
細菌検査室では患者さんから採取した検査材料(血液や尿・喀痰など)から感染症を起こしている細菌の検出を行っています。まず、検査材料を染色し細菌の有無を確認します。その後、培養し感染症の原因菌の同定と、どの抗菌薬が効くかの感受性試験を行っています。
当院は2019年4月に日本感染症学会認定研修施設となり、新たに感染症内科が立ち上げられたため、感染症内科医や研修医と日々染色結果や同定感受性結果についてディスカッションし、迅速に感染症の治療が行えるよう尽力しています。チーム医療活動としては、ICT(感染制御チーム)、AST(抗菌薬適性使用支援チーム)に参加しています。ICTでは、耐性菌の随時報告や院内アウトブレイクの早期発見に努めています。ASTでは、患者さん1人1人に合った適切な抗菌薬使用につながるよう、随時感受性結果を報告し、医師・薬剤師と情報共有しています。
生理検査
生理機能検査は、直接患者さんに触れ、医療機器を用いて循環器や呼吸機能、聴力、脳・神経系の機能や状態などを調べる検査です。検査を受けられる患者さんの不安や緊張を、少しでも和らげられるよう心掛けています。
心電図・負荷心電図、動脈硬化の程度や血管年齢がわかる足関節上腕血圧比(ABI)、喘息や肺気腫などを調べる呼吸機能検査、喘息の治療効果をみることができる呼気中一酸化窒素検査、各種超音波検査(心臓、腹部、血管、乳腺、甲状腺、胎児など)、脂肪量や筋肉量を測定する体成分分析検査、聴力検査やABR、ENoGなどの耳鼻科検査、脳波や末梢神経伝導検査などを行っています。また、睡眠時無呼吸症候群の検査として、終夜睡眠ポリグラフィー(自宅に持ち帰り測定できる簡易検査、入院して行う精密検査)を行っています。 胎児3D/4Dエコー検査では、胎児が動いている様子を立体的に見ることができ、成長の記録として写真やUSBメモリに残すことができます。
病理検査
病理検査では、病理組織標本の作製、細胞診のスクリーニング、病理解剖の助手等をしています。病理検体を用いたFISHやPCR等の遺伝子検査も行っています。患者さんへのコンパニオン診断薬の選択の一つとしてEGFRや、FISH法を用いた乳癌HER2検査を院内実施しているため、患者さんへの迅速な検査結果報告を実現しています。当院における症例検討会や院外の勉強会などにも積極的に参加し、知識と技術の向上に努めています。病理検査の内容や学術活動歴につきましては、病理診断科のページをご覧ください。
検査の基準範囲および臨床判断値
チーム医療
検査科は、患者さんに寄り添った最善の医療を提供する為に、検査技師ならではの視点をもって様々なチーム医療や各センターに携わっています。
NST(栄養サポートチーム)
病棟に入院中で栄養状態の介入が必要な患者さんを抽出し、その患者さんに必要な検査データの提供をしています。カンファレンスへの参加や週4回行われるラウンドでは、患者さんから直接食事についての疑問や希望を聞き、その上で栄養補助食品の提案や食事の改善を促すことで、栄養動態をみています。
ICT(感染制御チーム)
病院スタッフへ感染管理についての教育や学習会を実施し、ラウンドの際には感染源となりうる場所の発見と予防・改善を行っています。また、アウトブレイク防止に努め、発生時にはいち早く介入し、原因菌もしくはウイルスの究明と対策を行っています。
AST(抗菌薬適正使用支援チーム)
適切な抗菌薬の使用を促すため、カンファレンスにて患者さん一人ひとりに合った抗菌薬の選択や治療方針を検討し、主治医や薬剤師へ情報提供しています。耐性菌の出現防止や治療効果を高めることに努めています。
糖尿病センター
糖尿病は自己管理が重要であり、正しい糖尿病の知識、適切な生活習慣を維持していく必要があります。そのため、専門知識を持ったスタッフ全員で情報を共有しサポートすることを目的に、糖尿病教室や市民健康講座での講義、検査データの提供を行っています。また、病棟の血糖測定器の精度管理を実施しています。
内視鏡センター
内視鏡センターの一員として、医師や看護師、その他の職種と協力しながら、内視鏡検査の補助業務に従事しています。上部消化管・下部消化管内視鏡検査、ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)、ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)などの検査介助につき、迅速に検査・治療が行えるよう努めています。
脳神経疾患センター
脳卒中は、迅速かつ正確な診断が大きく予後に関わる疾患であり、検査科としては、来院時至急検査でいかに結果を迅速に報告するかが重要です。脳梗塞・脳出血などの診断後には、原因究明のために頸動脈エコーや心臓エコー検査を実施しています。また、定例会への参加、医療従事者研修や勉強会を企画しています。患者さん向けには、市民健康講座の開催、リーフレットの配布などの啓発運動を行っています。
乳腺センター
乳腺に関する疾患の早期発見には、患者さん自身での触診や検診が重要です。そのため、ピンクリボン活動やリーフレットの配布、市民講座などで情報提供を積極的に行い、検診率の向上を目指しています。乳腺センターでは、検査体制を充実させ、検査技師は乳腺エコーやFNAの補助などを行い、センター活動に貢献しています。
実績
研究発表
患者さんへ
採血室から患者さまへ
- 受付時間は、原則 8:15~16:00 となっています。
- 主治医より安静採血の指示を受けた患者さまは来院時食後5時間は空けた状態でお越しいただき、採血前にベッド上にて30分安静を保ったのち採血となります。
- 採血当日に検査結果が必要な場合、診察時間の1時間以上前の採血をお願いいたします。
- 手指温め用のホットパックなども使用し、患者さまへ負担の少ない採血を心がけております。必要な方は受付時にお申し出ください。
生理検査から患者さまへ
- 受付時間は、8:15~16:00 検査実施時間は、8:30~17:00 となっています。
- 検査予約票や検査案内票をお持ちの患者さまは注意事項等をご確認いただき、1階で再診受付後、予約時間に生理検査受付までお越し下さい。
- 検査予約票や検査案内票を渡されておられない場合、生理検査についての注意事項はございません。
- 検査予約の変更は、13:00~16:00の間に予約票末尾の電話番号までご連絡下さい。
- 検査当日に診察のある場合や検査取り消しは、受診科に電話して下さい。
- 急患など諸事情により、お待ちいただく場合があります。ご了承下さい。