放射線治療センター

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センターご挨拶

放射線治療センターでは、放射線治療に関連する業務を多職種のチームで行っています。地域がん診療連携拠点病院として地域で頼れる病院となることを目指し、「放射線治療ホットライン」で地域の先生などからすぐに相談できる体制を整えていることや、「日帰り単回の緩和放射線治療」などの取り組みが当センターの強みの一 つです。患者さんの高齢化に併せて放射線治療のニーズは増しています。放射線治療を安全に受けていただけるように環境を整えて日々努力していますのでよろしくお願いいたします。

放射線治療センター和田 健太郎

放射線治療ホットライン

当院では放射線治療専門医が、他の医療機関の医師や看護師からの相談に直接対応します。
医療者(医師、看護師)の方々から「適応がわかりにくい」 「適応と思っても目の前の患者さんに実際行えるのか自信がない」、「せっかく受診させたが適応外だった」などのお声をいただくことが度々ありました。がんによる症状は人それぞれで診療情報提供書での情報のやりとりには限界があることは事実です。これらのご意見を踏まえて、実際の紹介に至るまでに事前相談を行える機会を作る目的でホットラインを開設しました。

放射線治療医に直通の
ホットラインです!

例えばこんな時
  • 医学的な適応があると思うが確信がない
  • 患者の状態的に受けられるのかわからない
  • 具体的な治療内容やスケジュールを知りたい
  • 患者(家族から)放射線治療について説明を求められている

放射線治療に関することなら、なんでもお気軽にお問い合わせください。

受付時間

平日(月〜金)9:00〜17:00

  • 従来通り直接地域連携を介しての診療予約も承っております。
  • 番号をお持ちでない医療機関は、 初回のみ病院代表 (072-272-1199)にお掛け下さい。
  • 患者さん本人や家族からの直接の問い合わせは受け付けられませんのでご了承下さい。

訪問看護ステーションまでを含んだ地域医療機関に広く共有し、放射線治療に関連することを何でも気軽に相談できる体制を目指しております。お困りの際は是非、積極的にご利用いただけますと幸いです。

放射線治療センターメンバー

  • 放射線治療センター長1名
  • 医師3名(日本放射線腫瘍学会放射線治療専門医2名)
  • 医学物理士認定機構医学物理士1名
  • 放射線治療技師3名(日本放射線治療専門放射線技師認定機構技師3名)
  • 看護師2名

放射線治療とは

放射線治療とは、がんに放射線をあてる治療です。
X線撮影(レントゲン)などと同じで、痛みや熱を感じることはありません。
放射線治療は、がんの完治を目指す治療と痛みなどを和らげる治療(緩和的放射線治療)の2つに分かれます。放射線治療だけで行われることもありますが、手術や薬物療法と組み合わせることもあります。

堺市立総合医療センターの放射線治療

2015年に新病院に移転後、当院での放射線治療件数は増えています。直近では年間550件を超え大阪府下でも有数の治療件数を誇っています。
当院にはTrue Beam(トゥルービーム、図1)という放射線治療装置があり、通常の放射線治療に加え、強度変調放射線治療((IMRT/VMAT))(※1)や定位放射線治療(※2)などの高精度な治療を行うことが可能です。副作用を減らすため高精度な治療に取り組んでいることが当院の強みです。
もう 一つの特徴として、特定の疾患部やがん病巣に集まるお薬(放射性同位元素)を内服や注射で投与する核医学治療にも対応しています。

図1:True Beam

図2:治療件数の推移
  1. 放射線治療:照射野内の放射線の強さに強弱をつけることで、がん病巣には集中的に照射を行い、
    周囲の正常臓器へは照射線量を低く抑えることのできる照射法です。
  2. 定位放射線治療:がん病巣に多方向から高い放射線を集中的に照射する照射法です。
    ピンポイント照射とも呼ばれます。

緩和的放射線治療について

「がん特有の痛みや症状がある時に、原因となっている部位に放射線をあて症状を和らげ、生活の質(QOL)を改善させることを目的として行われる放射線治療」を緩和的放射線治療( 以後緩和照射と記載)といいます。
今ある症状だけでなく、今後起こりうる症状の対応を含みます。緩和ケア(身体や心のつらさを和らげること)にとって、緩和照射は重要な役割を果たしています。
代表的な適応に関しては下図を参照くだ さい。基本的には、「腫瘍による局所的な症状であれば何でも適応になる可能性がある」と考えていただいて構いません。
放射線治療はあくまで局所的な治療なので、症状の原因となっている(もしくは今後なるかもしれない)病変が画像で見えない場合は治療できません。
副作用は照射部の炎症により皮膚炎(日焼け様)、粘膜炎(咽頭炎、食道炎、胃炎、腸炎)などがおきます。副作用は照射部に起こります。緩和照射においては重篤な副作用はあまりなく、ほとんどの場合軽い副作用が1-2週間ほどで無くなります。「副作用に耐えられないから緩和照射ができない」というケースはほとんどありません。しかし、緩和照射は効果が出るのに1-2週間程度かかることも多いので、死期が切迫している(予後数日~1週程度)ケースや身体の状態によっては一部適応外になります。

緩和的放射線治療

腫瘍による局所症状なら、なんでも適応の可能性あり
QOLの改善が目的

  1. 骨転移関連症状

    • 鎮痛薬でコントロールできない疼痛、脊髄圧迫(麻痺、 しびれ)
  2. 腫瘍出血

    • 消化器癌、 婦人科癌、 泌尿器癌、頭頸部癌、皮膚転移自壊など
  3. その他:腫瘍による圧迫・閉塞、刺激症状など

    • 大血管(上大静脈症候群など)気道、 消化管(食道など)の圧迫・閉塞
    • 神経症状 (脳転移、 腕神経叢/腹部神経叢など)、被膜刺激(肝/副腎転移など)

図4:側臥位(横向き)で骨転移の緩和照射を行った1例

最後に、悪性リンパ腫やHPV関連がん(中咽頭がん、子宮頸がん、肛門管がんなど)や小細胞がんなどで放射線治療への感受性が極めて高いケースがあることも知っておいてください。下に提示する症例は3カ月ほどの経過で縦隔リンパ節が急速に増大し、腫瘍圧排による諸症状が出現したため緊急照射に至った症例です。この患者さんは照射をしなければ予後は数週以内であったと思われますが、照射をすることで1年以上症状なく生活されています。このように一部の患者さんでは一時の症状緩和のみならず予後延長にも相当に寄与するほどの効果が得られることがあります。

72歳男性 濾胞性リンパ腫(Grade3A)
  • PS1-2(呼吸苦、食道通過障害、嗄声、頸部浮腫)
  • Ⅱ期 (咽頭、鎖骨上リンパ節、肺門リンパ節)で診断
  • 抗癌剤治療で主病変縮小も、 約3ヶ月の経過で新規縦隔リンパ節が急速増大
    8Gy単回を緊急照射し、1ヶ月後には病変はほぼ消失した

日帰り単回緩和的放射線治療

日帰り単回で緩和照射を行います。初診から照射終了までを1日で完結します。 古典的には緩和照射は30 Gyを10回程度であてる方法が一般的です。 しかし、がん患者さん(特に在宅のがん患者さん)においては、時に頻回の通院自体が大きな負担になります。
「緩和照射はより短く」は世界的なトレンドであり、エビデンスもそれを支持する結果のものが多く報告されています。
例えば、骨転移の疼痛に対しては、8Gy単回が従来の30Gy/10回と疼痛緩和効果(6-7割で疼痛改善、2-3割で疼痛消失)、持続期間(5-6ヶ月)が同等であることが示されています。 骨転移以外の緩和照射の適応においても、8 Gy単回照射は(特に在宅のがん患者さんの)QOLの向上に十分寄与できるものと考えています。 日帰り単回照射(初診から照射まで同日)によって「頻回の通院が難しい」という問題を少しでも解消させ、緩和照射をより幅広い層の患者さんに適応させることを目的としています。 ご依頼は「放射線治療ホットライン」からご相談ください。

  • 入院での対応はできません。また、付き添いを必須としております。
  • 通院負担が大きくない患者さんにおいては分割照射(数週間の毎日の通院)を選択することもあります。

実際の治療スケジュールは次の通りです。
14:30から初診を行い診察や適応の精査をします。その後治療計画CTを撮像し、それを元に治療計画を立て、その計画が問題ないかの検証を行います。治療計画から検証まで(約60分)は安静室で待機いただ きます。放射線治療は15分程度で、照射後はすぐに帰宅できます。

X日

1ホットライン(必須)

適応判断、照射枠の確保

2地域連携通じて
情報提供依頼

通常通り

当日14:3016:30

1初診、治療計画CT

診察、体位確認など30分

2治療計画の立案、検証

患者は安静室で待機60分

3緩和照射(8Gy単回)

終了後はすぐ帰宅可能15分

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