皮膚がん

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当院の皮膚科ではすべての皮膚がんを診療しています。
皮膚がんには多くの種類がありますが、がんの種類や進行度、患者さんの全身状態によって、治療方針が異なります。

基底細胞がん

主に顔の中央部で、軽度に盛り上がった黒色のしこりとして出現することが多いです。
しかし中央が潰瘍化している場合や、色が薄いこともあります。
小さい黒い点が集まって増えて結節が増大するようであれば、基底細胞がんの可能性があります。

診断はダーモスコピーと皮膚生検で行います。
治療の原則は手術で、放射線や抗がん剤は基本的には使用しません。
リンパ節転移、遠隔転移をきたすことはごくまれで、基本的に予後は良好です。

有棘細胞がん

体のどこにでもできます。
紫外線が発生要因の一つで有り、顔や頭皮、手などの日光がよくあたる皮膚に多くできます。
その他に瘢痕や放射線照射部、化学物質やウイルス等に関連して発症することもあります。
前がん状態である日光角化症(光線角化症)や上皮内がんであるボーエン病も、進行すると有棘細胞がんとして扱います。
長期間治癒しない皮膚潰瘍や、硬い角質または出血やびらんを伴って増大する結節は、有棘細胞がんの可能性があります。

診断は皮膚生検で行い、診断されたら画像検査で全身に転移がないか検査します。
治療は手術が第一選択ですが、腫瘍の部位、大きさや患者さんの全身状態によっては放射線治療や抗がんも含めて治療を行います。
早期に診断され、十分な手術ができれば比較的予後は良好です
しかし進行して腫瘍が大きく深部にまで進んでいる場合や、すでにリンパ節や遠隔転移がある場合には予後が悪くなります。

悪性黒色腫

皮膚にメラニン色素を供給するメラノサイトが悪性化して発生する皮膚がんです。
多くは褐色から黒色のシミやしこりが「左右非対称」、「辺縁が不明瞭」、「色がまだら」で、色や形が変化し隆起してきたら悪性黒色腫の可能性があります。
手のひら、足の裏に黒い色素斑があり、爪に黒い線が伸びてきたときもダーモスコピーでの検査をお勧めします。

診断はダーモスコピーと皮膚生検で行い、診断がついたら画像検査で転移がないか検査します。
手術時にセンチネルリンパ節生検を行うため、PET-CT撮影も行います。
治療は手術が第一選択で、手術後にステージによっては術後補助療法を行います。遠隔転移など切除できない病変があれば、免疫チェックポイント阻害薬や分子標的薬による治療が検討されます。
一般的に行われるX線や電子線による放射線治療は補助的な治療手段として使用することがあります。
悪性黒色腫は転移や再発を起こし予後不良となることがしばしばあります。

その他の皮膚悪性腫瘍

  • 乳房外Paget病
  • 皮膚付属器癌(汗腺がん 脂腺がん)
  • メルケル細胞がん
  • 皮膚軟部組織腫瘍(血管肉腫など)
  • 皮膚リンパ腫

など、それぞれのガイドラインに従った診療を行っています。

皮膚は表面からご自身やご家族で全体を観察できる唯一の臓器であり、小さい病変でも生検が可能なため、早期に発見できることがあります。悪性黒色腫のような悪性度の高い腫瘍でも、早期に診断して十分な治療を行うことで完治も目指せます。
ご自身の皮膚に気になる変化が見つかったら、しばらくはこまめに観察してください。
結果、増大するなど見た目に変化があれば、早めに皮膚科でご相談してください。

診療実績(新規患者数)

2018
年度
2019
年度
2020
年度
2021
年度
2022
年度
2023
年度
基底細胞がん 14 21 27 20 22 43
有棘細胞がん 12 16 7 14 20 23
光線角化粧 12 11 18 12 26 19
ボーエン病 7 8 10 5 10 11
悪性黒色腫 2 4 7 2 5 7