胆道がん
胆道について
胆道とは、肝臓から分泌された胆汁の通り道で、肝外胆管、胆嚢、十二指腸乳頭部のことです。胆管(肝外胆管)は肝臓から十二指腸まで胆汁が通る管のことです。胆管の長さは約10~15cmで太さは0.5~1cmです。胆嚢はおおよそ長さ7~10cm、幅3~10cmで胆汁を濃縮する機能を持っています。十二指腸乳頭部は胆管が十二指腸に開口する部分で、膵管と合流しています。
胆道の病気は、胆石症、胆嚢炎、総胆管結石、胆管炎などの良性疾患や、胆道に発生する胆道がんなどの悪性腫瘍があります。胆道にがんが発生することで黄疸が見られることがあります。胆道がんは10万人あたり17人が罹患する(かかる)疾患ですが5年生存率は2~3割であり、悪性度の高い疾患です。
胆道がんの種類
胆道がんは、がんが発生する部位によって、肝内胆管がん、肝外胆管がん、胆嚢がん、乳頭部がんに分類され、このうち肝内胆管がんと肝外胆管がんのことを胆管がんといいます。肝外胆管がんは、さらに肝門部胆管がんと遠位胆管がんに分類されます。
胆道がんの診断
胆道がんは黄疸や肝機能異常をきっかけに見つかることがあります。CT検査、腹部超音波検査、MRI/MRCP(MR胆管膵管撮影)検査、超音波内視鏡検査(EUS)、内視鏡的逆行性胆管造影(ERCP)、PET検査、血液検査などを用いて総合的に診断をします。最終的には細胞診や生検を行い、病理検査で確定診断を行いますが、確定診断を得られないこともあります。当院では毎週、内科、外科、放射線診断科、病理診断医がほぼすべての症例に対してカンファレンスを行い、胆道がんの広がりをできるだけ正確に評価した上で、病状に合った治療計画を立てています。
胆道がんの治療
胆道がんはがんの広がりによって治療方針が異なります。治療法には、手術、薬物療法、放射線治療があります。胆道がんが唯一根治できるのは手術と考えられています。そこでまず手術ができるかどうかを検討し、手術ができない場合は薬物療法を中心とした治療を行います。
手術
検査で遠隔転移や腹膜への転移がなく、切除可能と判断した場合の第一の治療法は手術です。手術では病変および領域リンパ節郭清を行います。胆管がんでは、がんの場所、広がりおよび患者さんの体力に応じた術式を選択します。肝内胆管がんの場合は肝切除、肝門部胆管がんの場合は肝切除や胆管切除、胆嚢がんの場合は、胆嚢摘出術に加え、肝切除や胆管切除の追加、遠位胆管がんと乳頭部がんの場合は膵頭十二指腸切除術が主に選択されます。また胆道の近くには肝動脈や門脈といった重要な血管があり、そういった血管にがんが浸潤しているときには血管の合併切除再建が必要となることもあります。胆道がんでは侵襲の大きな手術が必要となることが多いため、患者さんの体力や意思を十分に考慮し、しっかり相談した上で治療方針を決定します。
化学療法
化学療法とは抗がん剤を使用した治療法ですが、大きく分けて2種類です。1つ目は手術の後に再発を抑える目的で行う術後補助化学療法です。胆道がんは手術で肉眼的にがんを完全に切除した場合でも時間が経ってから再発することがあります。2つ目は再発した場合や遠隔転移や局所進行などで切除不能の場合に、がんの進行を抑える目的で行う化学療法です。
胆道がんで使用できる薬剤は、主にゲムシタビン、シスプラチン、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤、イミフィンジなどで、これらを組み合わせて投与します。患者さんの体力や副作用に応じて薬剤や投与日程などを調整しますので気軽に相談してください。また、当院では必要に応じて遺伝子パネル検査も実施しています。これによって患者さんに合った薬剤が見つかることもあります。
放射線治療
胆道がんにおいて放射線療法の効果は現時点では十分に証明されておらず、標準治療ではありません。根治手術が不可能で遠隔転移のない場合、がんの進行抑制を目的として放射線治療を行う場合があります。抗がん剤を併用しながら行うこともあります。
また疼痛を緩和するために行うことがあります。放射線治療科以外の診療科で治療中の患者さんで放射線治療をお考えの場合には気軽に主治医に相談してください。
最後に
胆道がんの治療は、手術、化学療法、放射線治療と多岐にわたることが多いです。当院ではさまざまな診療科や医療スタッフが密に連携して診断や治療にあたります。何か疑問や不安などありましたら主治医やスタッフに相談してください。