がんゲノムセンター
センターご挨拶
当院のがんゲノムセンターは、厚生労働省より「がんゲノム医療連携病院」に認定されており、医師・看護師・薬剤師・臨床検査技師などの多職種で、がんゲノム(遺伝子)に関する業務を行っています。また当院ではがん遺伝子パネル検査や遺伝性腫瘍外来を行っており、遺伝専門医や認定遺伝カウンセラー®(日本遺伝カウンセリング学会と日本人類遺伝学会が共同認定する資格)による遺伝カウンセリングを提供する体制を整えています。また院内だけでなく、地域の医療機関に対してもがんゲノムに対する研修会などを積極的に開催しております。
がんゲノムセンター山村 順
がんゲノムセンターメンバー
- センター長 医師1名(遺伝性腫瘍専門医、がん薬物療法専門医、乳腺専門医)
- 医師4名(がん薬物療法専門医1名、分子病理専門医1名、産婦人科専門医1名)
- 薬剤師1名(がん専門薬剤師、治験コーディネーター、がんゲノム医療コーディネーター)
- 看護師3名(認定遺伝カウンセラー®1名、がん看護専門看護師1名、乳がん看護認定看護師1名、がんゲノム医療コーディネーター3名)
- 臨床検査技師3名(細胞検査師名、がんゲノム医療コーディネーター1名)
- 事務職員3名
がんゲノム医療とがん遺伝子パネル検査
がんゲノム医療とは
がんは遺伝子(ゲノム)の病的な変化(変異)によって起こる疾患です。この変異は患者さん一人ひとり異なり、病気の原因となっているタンパク質などの特定の分子だけを攻撃するお薬(分子標的治療薬)が次々に開発されています。がん細胞の遺伝子にどのような変異が生じているかを調べる「がんゲノムプロファイリング検査」で有効な治療薬を選択し、患者さん一人ひとりに効果的な医療を提供することが可能となってきました。
当院ではこのようながんゲノム医療を積極的に取り入れています。
当院のがんゲノム医療体制とがん遺伝子パネル検査
当院は厚生労働省よりがんゲノム医療連携病院に指定されており、がんゲノム医療に積極的に取り組んでいます。がんゲノムプロファイリング(がん遺伝子パネル)検査で、がんに関連した多数の遺伝子を一度に調べ、その結果を利用して適切な治療法を選択しています。がん遺伝子パネル検査は、がん種ごとの治療法選択に加え、がん特有の遺伝子変異に応じた治療方法を選択し、患者さん一人ひとりにあった治療に結びつけています。
ただし、がん遺伝子パネル検査ならびに薬剤開発の状況から、治療につながる割合は10パーセント程度で、有効な情報が得られない可能性もあります。
また数パーセントの割合で遺伝性腫瘍(生まれつきがんにかかりやすい体質を持つ)に関わる遺伝子変異が見つかることがあります。このような場合、血縁者(親、子、兄弟姉妹等)も同じ遺伝子変異を持っている可能性があります。
当院はこれまで多くの患者さんに対して、がん遺伝子パネル検査を実施し、患者さん一人ひとりにあった治療につなげてきました。がん遺伝子パネル検査を検討されている方は、お気軽に主治医へご相談ください。
保険適用の対象となる方
-
下記のいずれかの診断を受けた方
- 標準治療終了(終了見込みも含む)の固形がんの方
- 原発不明がんの方
- 治療法が確立していない希少がんの方
-
全身状態や臓器機能等から、がん遺伝子パネル検査実施後に、化学療法を行うことが可能であると主治医が判断した方
当院のがん遺伝子パネル検査の種類
当院では保険診療で5種類のがん遺伝子パネル検査を実施しています。
(自費のがん遺伝子パネル検査は行っておりません。)
NCC オンコパネル システム® |
Gen Mine TOP | FoundationOne® CDx |
FoundationOne® Liquid CDx |
Guardant360 CDx |
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対象遺伝子数 | 124遺伝子 | 737遺伝子 | 324遺伝子 | 324遺伝子 | 74遺伝子 |
提出検体 | がん組織検体 +血液(採血) |
がん組織検体 +血液(採血) |
がん組織検体 | 血液(採血) | 血液(採血) |
料金 | 保険診療の検査料金56,000点(医療費自己負担3割負担の場合168,000円)+診察料等が発生します。 検査申込の時と、結果説明の2回に分けて支払います。 高額療法費制度(限度額適用認定)の対象となる可能性があります。 |
- 各検査会社の資料から作成
費用について
保険診療での検査費用は合計56,000点(3割負担168,000円)です。
- 1回目:検査依頼時:44,000点(3割負担132,000円)
- 2回目:検査結果説明時:12,000点(3割負担36,000円)
- 高額療養費支給の対象となる場合があります。
当院におけるがんゲノム医療の流れ
がん遺伝子パネル検査は、DNAを抽出してから適切な治療について決定するため、専門家間での話し合い(エキスパートパネル)を行います。そのため、同意していただいた日から結果をお伝えするまで2か月程度かかります。
がん遺伝子パネル検査の説明、同意
腫瘍組織検体もしくは血液検体提出
シークエンス解析(DNA抽出)
レポート作成
専門家会議(エキスパートパネル)
検査の結果説明
治療
遺伝性腫瘍の疑いや遺伝性腫瘍と診断された場合
当院は、遺伝性腫瘍外来を設けております。遺伝性腫瘍の疑いがある方や遺伝性腫瘍と診断された方は、遺伝性腫瘍専門医や認定遺伝カウンセラー®などによる遺伝カウンセリングや遺伝学的検査を受けていただくことができます。
当院へのご紹介の流れ
(当院でがん治療を受けていない方へのご案内)
当院に通院されていない方が当院のがん遺伝子パネル検査を希望される際は、医療機関から予約していただく必要があります。かかりつけの担当医師とご相談ください(患者さんからの直接の予約申し込みは受け付けておりません)。かかりつけの担当医師が対象であると判断した場合、医療機関から当院の患者支援センターを通して申込みをしていただきます。
遺伝性腫瘍外来
遺伝性腫瘍とは
現在日本では、がん患者さんは増えており、2人に1人が生涯でがんになり、3人に1人が、がんで亡くなる時代といわれています。がんの発症原因としては、喫煙、飲酒、食事、感染、紫外線、ストレスなどさまざまな要因が考えられます。一方5-10%は、生まれつき持っている遺伝子の変化(変異)が原因とされ、このようながんは遺伝性腫瘍といわれています。
こうした遺伝子の病的な変異が親から子へ伝わり、がんにかかりやすい体質をもたらす可能性があります。特に、乳がん卵巣がんに関わる遺伝性腫瘍の一つが遺伝性乳がん卵巣がん(HBOC:Hereditary Breast and Ovarian Cancer)です。HBOCの疑いがある乳がん患者さんは保険診療で遺伝学的検査が可能となります。当科では、HBOC外来を開設しています。
HBOC(遺伝性乳癌卵巣癌)外来について
当科では、HBOC外来にて、遺伝専門医や認定遺伝カウンセラー®による遺伝カウンセリングを実施しています。HBOCを疑われる乳がん、卵巣がん、すい臓がん、前立腺がんの患者様や、その血縁者の方には、BRCA1/2遺伝子検査によりHBOCの確定診断を行っています。さらに予防的な乳房切除(RRM:risk reducting mastectomy)や卵管卵巣切除(RRSO:risk reducing bilateral salpingo—oophorectomy)、がんの早期発見のための詳細な検査(サーベイランス)も実施しており、がんを未然に防ぎ早期に発見する努力を行っています。
注:BRCA1/2遺伝子検査とは
細胞内のDNAは、日常的に紫外線や化学物質などの刺激によって傷つきます。BRCA遺伝子は、傷ついたDNAを修復することで、がんの発生を抑える役割を果たしています。BRCA遺伝子に病的な変異が生じると、その機能が失われることが知られています。BRCA1/2遺伝子検査は、生まれつきのBRCA1またはBRCA2遺伝子の異常を調べる検査です。この検査結果に基づいて、遺伝性乳がんや卵巣がんの診断が行われ、また特定の分子標的薬の使用が治療の選択肢として検討されることがあります。
遺伝性腫瘍外来のご案内
当院では遺伝性腫瘍外来にて、遺伝専門医や認定遺伝カウンセラー®による遺伝カウンセリングを実施しています。遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)やリンチ症候群などの遺伝性腫瘍、がん遺伝子パネル検査により遺伝性腫瘍の可能性があると分かった方やその血縁者を対象として、遺伝カウンセリングや遺伝学的検査を行っております。遺伝カウンセリングをご希望される方はご遠慮なく当院のがん相談支援センターへお問い合わせください。
遺伝性腫瘍外来の流れ
遺伝性腫瘍外来
遺伝カウンセリング
遺伝学的検査
検査結果:陽性
当院での
サーベイランス
開始
(例)HBOCの場合
- 乳房造影MRI検査
- マンモグラフィー
- 婦人科フォロー
- リスク低減手術(PRSO、PRM)
検査結果:陰性
ご希望があれば追記検査
(マルチ遺伝子パネル検査等)
血縁者への遺伝カウンセリング
連絡先・受診申し込み
堺市立総合医療センター
患者相談支援センター
- TEL:
- 072-272-1199
- FAX:
- 0120-002-099
がん遺伝子パネル検査(がんゲノムプロファイリング検査)を受けられる方をご紹介いただく医療関係者の方へ
がん遺伝子パネル検査とは
がん遺伝子パネル検査は、患者さんのがん組織や血液から数百種類のがん関連遺伝子を、次世代シークエンサーを用いて網羅的に解析し、がんの特徴を知るための検査です。解析結果は、がんゲノム医療中核拠点病院である大阪大学医学部付属病院の多職種多分野による専門家会議(エキスパートパネル)で論議され、治療効果が期待できる薬剤や、参加できる可能性がある臨床試験・治験の有無を含めた治療法を検討します。
検査後の治療について
がん遺伝子パネル検査後の治療は、現在治療を行っている主治医の判断となります。この検査の結果が、主治医の判断よりも優先されることはありません。
検査後の治療に関しましては、ご紹介元の施設での治療となります。
費用について
当院では保険診療でのがん遺伝子パネル検査を実施しています。
保険診療での検査費用は2回に分けて合計56,000点(3割負担168,000円)です。
- 1回目:検査依頼時・がんゲノムプロファイリング検査 44,000点(3割負担132,000円)
- 2回目:検査結果説明時・がんゲノムプロファイリング評価提供料 12,000点(3割負担36,000円)
- 高額療養費支給の対象となる場合があります。
- 別途診察料等が発生します。
がん遺伝子パネル検査の
予約~検査の流れ
予約
堺市立総合医療センター予約申込書に必要事項をご記載いただきFAXでご送信ください。
- 詳しくは予約システム運用をご確認ください。
検査説明
- 必要書類や腫瘍検体持参(※詳細は下記資料及び様式をご確認ください)
- 外来担当医師とがんゲノムコーディネーターより患者さんへ説明します。
- 検査に同意があれば、同意書にサインをいただきます。
※血液検査の場合は初回来院時とは別の日に、採血のためにご来院いただきます。
検査の結果説明
- 外来担当医師より結果を説明します。
- 検査に伴う費用をお支払いいただきます。
- 紹介元の医療機関へ診療情報提供書にて結果を報告いたします。
紹介元医療機関への報告
詳細につきましては、下記資料・様式をご確認ください。
なおご不明な点は上記連絡先(患者相談支援センター)までご相談ください。