卵巣がん

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卵巣がんとは

卵巣がんは卵巣に発生するがんで、卵管や腹膜に発生する卵管がんや腹膜がんも卵巣がんに似た性格を持ちます。

卵巣は子宮の両脇にあり、性ホルモンを作ったり、卵子を作ったりする臓器です。
卵巣がんの発生母地は卵巣の表面の皮(上皮)を由来とするものが90%と最も多く、上皮性卵巣がんと呼ばれます。

卵巣がんが進行すると、腹部の臓器や腹壁の内側などをおおっている腹膜や、大網(だいもう)(胃と大腸の間にある脂肪とリンパ節等を含む組織)にがんが広がる腹膜播種が生じます。
播種した病変は、大腸、小腸、横隔膜、脾臓などに浸潤することがあります。

また、骨盤内や腹部のリンパ節に転移することや、肺や肝臓、脳や骨などの遠くの臓器に転移(遠隔転移)することもあります。

初期のがんでは症状は出ませんが、がんが進行すると、お腹が大きくなったり、痛くなったり、足がむくんでくることがあります。
また、腸を圧迫することで食べ物の通過が悪くなり、便秘や嘔吐がみられることもあります。卵巣がんは早期発見の困難ながんの一つと考えられており、進行がんで発見されることが多いです。

  • このページでは最も頻度の高い「上皮性卵巣がん」について書いています。そのほかの種類のがんの場合は、主治医や医療者にお尋ねください。

診断方法

  • 婦人科診察室で実施する腹部診察
  • 内診:膣から指を入れて、お腹の状態を確認します
  • 経膣超音波検査:膣から超音波検査を実施します

この他に、画像検査(MRI検査やCT検査)、腫瘍マーカーをみるための血液検査を実施します。
卵巣は骨盤の深い位置にある臓器のため、正確に卵巣がんと診断するためには、卵巣の組織の一部をとってきたものを病理検査(顕微鏡で組織をみる検査)で確認する必要があります。
このため、複数の検査により卵巣がんを疑うと考えた際には、手術を実施して、これにより卵巣の組織を採取した後、正確な診断がわかります。

治療方法

卵巣がんは手術が基本であり、がんをできるだけ多くとりきれることが予後(よご)と関係しています。
近年、多くの臓器のがんにおいて低侵襲手術(傷が小さい手術)が普及してきましたが、卵巣がんの手術では低侵襲手術は標準治療ではなく、大きな腹部の傷の手術を選択します。
手術で摘出する臓器は両側の卵巣、子宮に加え、大網、骨盤と腹部大血管周囲のリンパ節ですが、がんの広がりにより縮小することもあります。

一方で、進行した卵巣がんの場合、手術ですべてのがんを取り除くことができないと考えられる場合には、がん薬物療法(抗がん剤治療)を先行することがあります。

また、妊孕性温存(にんようせいおんぞん:妊娠するための力、臓器を残す)を希望され、早期がんであり一定の条件を満たす際には、妊孕性温存術式(がんのある卵巣だけ摘出し、正常と考える側の卵巣と子宮を温存する)を選択することがあります。

手術により決定した「がんの種類(組織型)」や「がんの顔つき(悪性度)」、「がんの広がり(病期、ステージ)」により術後に薬物療法が必要かどうかを考えます。

がん薬物療法の実施期間や種類(細胞障害性抗がん薬や、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬など)は病気の状態によって異なりますので、主治医や医療者にお尋ねください。

治療実績

2020年度 2021年度 2022年度 2023年度
卵巣がん 31 22 19 20