専門外来睡眠呼吸障害外来(CPAP)
更新日:睡眠時無呼吸症候群という病気は1975年に疾患が定義された比較的新しい病気です。
それ以来、患者さんの存在が多いことが知られてきましたが、診断は手間がかかり、また、よい治療法もなかったのですが、1990年代半ば、鼻マスクによるCPAP治療が利用できるようになり、電子機器などの発達もあり、以降急速に診断・治療が普及してきました。少しご存じの方には、大きないびきや日中のひどい眠気(睡眠時間はとっているのに昼間から眠い)などが睡眠時無呼吸症候群の症状としてご理解いただいているかと思います。
日中の眠気は、仕事への支障が生じて本人が困るばかりでなく、居眠り運転による交通事故という重大な結果を引き起こす可能性もあり、一方でそれらの症状が、CPAP治療で劇的に改善させられる特徴があります。さらに、自覚症状がなくとも、睡眠中に呼吸が不十分となり、その間に低酸素血症(酸欠状態)になることが繰り返されることで、心臓や脳などの血管系にダメージが加わり、心不全が悪化することもありますし、早朝や午前中の突然死が高率に起こるなどといった重大な結果につながることが明らかになってきました。自覚症状がなくとも、ご家族に指摘されて精密検査をすると重症の睡眠時無呼吸症候群であったということも少なくありません。
対応疾患
専門的診療はしていませんが、当院での精密検査の結果で診断されることのある疾病の一部、たとえばレストレス・レッグ症候群や睡眠相後退症候群などへの内科的治療も行っています。
- 閉塞型睡眠時無呼吸症候群
- チェーン・ストークス症候群(を伴う心不全)
- 一部の中枢型睡眠時無呼吸症候群
閉塞型睡眠時無呼吸症候群を疑う症状には以下のようなものがあります。
- 大きないびき
- 時々止まっては繰り返すいびき
- 夜間睡眠中に何度もトイレに行く
- 息苦しくなって目が覚めた
- 睡眠中急に体を動かす
- 朝起きたときに十分眠った気がしない
- すぐに居眠りしてしまう
- 性格が変わってきた、イライラしている感じがする など
特色・強み
睡眠中の現象ですので、睡眠中の状態を検査します。この検査の質が重要になります。簡易検査と終夜睡眠ポリグラフ検査を用いています。
簡易検査
無呼吸があるのかどうかがわからない場合、あっても軽度かもしれない場合に外来で施行できます。一晩、機器を貸し出し自宅で簡単に装着していただいて検査できる方法です。入院の必要はありませんが、精密検査が必要であるという結果が出た場合には、終夜睡眠ポリグラフ検査を受けていただくことになります。
終夜睡眠ポリグラフ検査(ポリソムノグラフィー検査:PSG)
当院での簡易検査に続いて、また、他院での簡易検査の結果にもとづく紹介により入院で行います。
- 1泊2日の入院で検査します。
- ポリグラフと名前のあるとおり、体のいろいろなところの測定を同時に行います。
- 具体的には、脳波・眼球運動・顎と下肢の筋電図・鼻と口の気流・いびきの音・心電図・胸の動き・お腹の動き・動脈血中の酸素飽和度・体位を同時に計測します。
- 多くのセンサーが取り付けられ、少し動作が制限されますが、当院で使用している装置は最新型であり、比較的軽装備であり、かつ精度の高いものです。
- お仕事の都合などに合わせて、午後遅めに入院していただき、翌日早朝に退院していただくこともできます。
- 検査結果の解析には熟練した技術者の判定が重要で正式結果まで約2週間を要しますが、おおよその結果は2日目の午後までに説明できるようにしています。
- 必要があれば、続けてCPAP治療を導入するためにもう一泊していただくこともあります。
- 睡眠時無呼吸の程度が重い場合(時間当たりの無呼吸回数が多い場合や無呼吸に伴って不整脈が誘発されるような場合)には直ちにCPAP治療を受けていただくために、2泊3日での入院をお勧めしています。
終夜睡眠ポリグラフ検査(ポリソムノグラフィー検査:PSG)
当院での簡易検査に続いて、また、他院での簡易検査の結果にもとづく紹介により入院で行います。
- 終夜睡眠ポリグラフ検査で治療が必要と診断された場合には、CPAP治療を適切に受けていただくための説明と効果が得られていることを確認するためにもう一晩、ポリグラフ検査を行いつつ治療を行う入院をしていただきます。
- 仕事のご都合などがつくようであれば、1日目の夜にポリグラフ検査を受けていただき、その結果をもって、必要であれば続けて2日目の夜にCPAP治療を導入させていただくことをお勧めします。2日目の早朝に仕事に出られて、夕食時に病院にもどってきていただくことでなるべく休まずに治療していただくこともできます。
スリープスプリント(歯科装具)
CPAP治療を必要としない程度の軽症の場合や中等症以上でもCPAP治療だけでは不十分の場合に、歯科口腔外科で特別に作成する装具を用いることがあります。下あごを少し前に出した状態をつくる装置で、就寝中だけ使用します。
担当医師・スタッフ
- 郷間 巌(呼吸器内科)