Sakai Medical Stories Vol.6【シリーズがんセンター】ロボットが拓く「機能を守る」がん手術の現在(いま)

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Vol.6 【シリーズがんセンター】ロボットが拓く「機能を守る」がん手術の現在(いま)
-機能を守るための、あくなき探求-
がんセンター副センター長/泌尿器科部長 高山 仁志

「無理な手術は絶対にしない」―。そんな強い信念を持ちながら、日々、精密なロボット手術に向き合っているのががんセンター副センター長で泌尿器科部長の高山 仁志 医師です。
最新のデバイスを駆使して患者さんの術後の生活(QOL)をいかに守るのか。若手医師の育成から、意外な素顔がのぞくプライベートなエピソードまで、多岐にわたるお話を伺いました。
Q1.当院のがんセンターにおいて、手術はどのような位置づけですか?
手術はがん治療の大きな柱ですが、あくまで「選択肢の一つ」です。
現在は薬物療法も進歩しており、患者さんの状態に合わせて最適な方法を選ぶことが何より重要です。
「無理な手術は絶対にしない」という方針を徹底し、安全性を最優先にしています。
Q2.ロボット手術(ダビンチ)を導入する最大のメリットを教えてください。

最大のメリットは「機能温存」です。
ダビンチは3D画像で術野を鮮明に捉え、人間の手首以上の動きができる精密な鉗子(かんし)を操ります。
これにより、これまでの手術では難しかった繊細な縫合が可能になり、がんを取り除きつつ、周囲の神経や血管、臓器の機能を最大限に残すことができます。
Q3.「機能温存」ができることで、患者さんの生活はどう変わりますか?
例えば前立腺がんでは、術後の尿失禁の発生率を大幅に抑えることができます。
また、腎臓がんの部分切除では、腎臓の血流を止める時間を短くできるため、術後の腎機能を守ることに直結します。
日常生活への早期復帰と、術後の生活の質(QOL)の維持が大きな強みです。
Q4.手術の安全性はどのように確保しているのでしょうか?
ロボットには「触覚」がないため、「見えている範囲でのみ操作する」という原則を徹底しています。
また、医師、麻酔科医、看護師、技師、事務職など多職種で構成する「ロボットワーキンググループ」を組織。
常に新しい術式の安全性や運用を客観的に検証する体制を整えています。
Q5.若手医師の育成はどのように行っていますか?

手術動画の共有システムを構築し、いつでも自分の手術を振り返ったり、ベテランの技術を学んだりできる環境を作っています。
また、今の若手医師はゲーム経験がある世代で、ロボット操作の習得(ラーニングカーブ)が非常に早いという特徴もあります。
解剖学の深い知識と、デジタル技術を融合させた指導を行っています。
Q6.手術中にスタッフとの連携で大切にしていることは?
「誰でも、何でも言える雰囲気」を作ることです。
雰囲気が悪いと、スタッフが異変に気づいても指摘しづらくなり、結果として患者さんの安全を損ないます。
困難な局面でも平静を装い、チーム全員が最高のパフォーマンスを発揮できるオープンな環境づくりを心がけています。
Q7.手術に臨む際、執刀医として最も大切にしている原則は何ですか?
「引く勇気を持つ」ことです。
ロボットはあくまで道具であり、目的は患者さんを治すことです。
もし状況が困難であれば、無理に続行せず、より安全な手法に切り替える。この「無理をしない」という判断こそが、執刀医に求められる最も重要な責任だと考えています。
Q8.患者さんはロボット手術を自分で選ぶことができるのでしょうか?
私たちは、患者さんご自身が納得して治療を選ぶことを大切にしています。
ロボット手術を第一選択として提案する場合もあれば、重粒子線治療など他の選択肢も詳しく説明します。
患者さんがご自身で情報を集めて来られることも歓迎しています。
最終的な意思決定をしっかりサポートするのが私たちの役割です。
Q9.地域医療機関との連携や、今後の展望についてお聞かせください。

開業医の方からのご紹介は幅広くお受けしています。
当院は前立腺水蒸気治療でも全国有数の実績がありますが、今後も新たな領域拡大もめざしています。
ロボット稼働率をさらに高め、一人でも多くの患者さんに高度な治療を届けていきたいですね。
Beyond the White Coat
― 白衣の向こう側 ―
ここからは、医療や仕事の話から少し離れて、休日の過ごし方や好きなものなど、日常のひとコマから見えてくるスタッフの人となりや、ちょっと意外な一面をご紹介します。
*おすすめのお店
日本橋の「六覺燈(ろくかくてい) 黒門本店」。
創作串カツの名店で、そこでエネルギーをチャージして、また日々の精密な手術に臨んでいます。
*趣味
学生時代はバックパッカーとしてイタリアなど海外を一人旅していました。
現在も海外旅行が趣味で、世界各地を訪れています。

アメリカ合衆国・アナハイム
カリフォルニア ディズニーランド・リゾート(DLR)

スペイン・バルセロナ
モンセラット修道院

フランス・ノルマンディー
モンサンミッシェル

フランス・パリ
エッフェル塔

イタリア・ローマ
真実の口