TEL 072-272-1199

FAX 072-272-9911

〒593-8304
堺市西区家原寺町1丁1番1号

外来受付のご案内

受付時間

8:15~11:00

休診日

土日祝・年末年始

メニューを閉じる
2026年9月4日
医療関係者向け 地域の皆様向け 求職者向け

Sakai Medical Stories Vol.18 がん治療後の日常に安心を届ける――リンパ浮腫治療外来で挑む、症状緩和と予防の専門看護

市民や医療従事者にとって“ほどよく専門的”で“温度のある情報”を配信する「Sakai Medical Stories」

   

Vol.18 がん治療後の日常に安心を届ける――リンパ浮腫治療外来で挑む、症状緩和と予防の専門看護

7東病棟 副師長/リンパ浮腫治療外来
医療リンパドレナージセラピスト
郡司 沙季

がん治療に伴って生じることがある手足のむくみや重だるさ――「リンパ浮腫」。
一度発症すると長く付き合っていく必要があるこの症状に対して、専門的なアプローチで患者さんの日常生活と笑顔を取り戻すサポートを行っているのが、堺市立総合医療センターの「リンパ浮腫治療外来」です。
今回は、7東病棟の副師長を務めながら、当院で初となる看護師によるリンパ浮腫治療外来を立ち上げた郡司 沙季副師長にインタビュー。
専門資格取得の経緯から、患者さんのQOL(生活の質)を高めるケアのこだわり、後輩育成への想いまで詳しくお話を伺いました。
     

Q1.まず、リンパ浮腫治療外来とはどのような外来なのか教えてください。

乳がんや婦人科がんなどの手術でリンパ節を切除した後に、リンパ液の流れが滞ることで手や足がむくむ「リンパ浮腫」という合併症に対する専門外来です。
むくみの軽減や維持を目指す医療用マッサージ(リンパドレナージ)をはじめ、弾性スリーブやストッキングによる圧迫療法、スキンケアの指導などを通じて、症状の緩和と進行予防を行っています。
    

Q2.「医療リンパドレナージセラピスト」の資格を取得されたきっかけは何だったのでしょうか?

当時、勤務していた病棟でがんの手術後にリンパ浮腫に悩まされる患者さんと接する機会が多く、「もっと専門的なアプローチで苦痛を和らげてあげたい」と感じたのが一番のきっかけです。
当時、私にはまだ幼い子どもがいたため、長期で家を空ける必要のある研修への参加は難しかったのですが、家庭と両立しながら取得できるこの資格を見つけ、挑戦することを決めました。
専門知識を身につけたことで、患者さんへのケアの幅が大きく広がったと感じています。
          

Q3.当院でのリンパ浮腫治療外来は、郡司さんが立ち上げられたのですね。

はい。
2017年に資格を取得した後、看護部や医師のサポートをいただきながら外来を立ち上げました。
当院の看護師としては初めての取り組みでしたので試行錯誤の連続でしたが、「患者さんのための専門外来を作りたい」という一心でスタートさせました。
   

Q4.日々のケアや外来業務の中で、郡司さんが最も大切にされている「こだわり」は何ですか?

「患者さん一人ひとりの生活スタイルや価値観に寄り添い、無理なく続けられるケアを一緒に考えること」です。
リンパ浮腫は長く付き合っていく疾患ですので、私たちが一方的に「こうしてください」と指導しても長続きしません。
家事やお仕事、ご家族の中での役割などを丁寧に伺いながら、その方の暮らしに溶け込む形でのセルフケアをご提案するよう心掛けています。
      

Q5.早期からの介入が非常に重要だと伺いました。

その通りです。
リンパ浮腫は早期から適切なケアを始めることで、進行を防いだり改善が期待できたりする可能性が高まります。
「少しむくんでいるかも」「違和感があるな」と感じた段階で、まずは主治医の先生に相談していただくことが大切です。
また、むくみは心臓や腎臓などの疾患が原因である可能性もあるため、主治医による適切な診断を経てから私たちのリンパ浮腫治療外来へと繋いでいただくフローをとっています。
    

Q6. これまでのケアの中で、特に手応えを感じたり嬉しかったエピソードはありますか?

セルフケアを継続された患者さんが「むくみが引いて手の血管やシワが見えるようになりました!」と笑顔で報告してくださった時は本当に嬉しいですね。
また、ケアによって状態が維持でき、「自宅でお料理教室を再開できた」「娘の結婚式に出席できた」「海外旅行に行けた」といった前向きな報告をいただいた瞬間は、この仕事をやっていて良かったと心から実感します。
       

Q7.リンパ浮腫の管理において、特に注意すべきケアポイントはありますか?

実は「保湿ケア(スキンケア)」がとても重要です。
むくみが進行すると皮膚が引き伸ばされて薄くなり、バリア機能が低下して乾燥しやすくなります。
そこから細菌が入ると「蜂窩織炎(ほうかしきえん)」という強い炎症を引き起こし、むくみをさらに悪化させてしまうのです。
そのため、お風呂上がりなどの十分な保湿を徹底していただくようお伝えしています。

Q8.自宅で患者さん自身が行う「セルフケア」をサポートする工夫を教えてください。

圧迫療法に使うスリーブやストッキングの着脱は、慣れるまで大変な作業です。
特に女性の方は水仕事や家事で手を濡らす機会も多いため、装着時間をどのように確保するかを一緒に考えます。
「完璧を目指さなくても大丈夫」「まずはこの時間帯だけ試してみましょう」と、気持ちの負担を減らしながら継続できるペースを調整しています。
     

Q9.病棟の副師長としてもご活躍されていますが、スタッフが力を発揮しやすい環境づくりのために意識されていることは何ですか?

誰でも安心して意見を言えたり、相談しやすかったりする空気づくりを大切にしています。
忙しい現場だからこそ、一人で悩みを抱え込まずに互いに支え合えるチームであることが、結果としてより良い看護に繋がると信じています。
       

Q10. 後輩看護師の育成や専門知識の共有への想いをお聞かせください。

後輩から相談を受けたときは、すぐに答えを教えるのではなく「どう考える?」「なぜそう思う?」と問いかけ、一緒に考えるプロセスを大切にしています。
自分で判断する力を育むことが、看護師としての成長に繋がるからです。
外来で得たリンパ浮腫の専門知識も病棟スタッフへ共有し、チーム全体の看護の質の向上を目指しています。
     

Q11. 副師長としてのマネジメントと専門外来の実践、ご自身の看護や人生における「軸」とは何でしょうか?

「患者さんもスタッフも、一人ひとりの『その人らしさ』を尊重し、持っている力を引き出せるよう支えること」です。
私自身も、患者さんや後輩たちから日々多くのことを学び、成長させてもらっています。
お互いにリスペクトし合える関係性を築くことが、私のすべての活動の軸になっています。
        

Q12. 今後のリンパ浮腫治療外来や、ご自身の展望について教えてください。

1つは、院内だけでなく地域医療との連携をさらに強化していくことです。
通院が難しくなった患者さんでも、ご自宅や地域のクリニックで切れ目なく専門的なケアを受けられるような体制を築いていきたいと考えています。
そしてもう1つは、この専門性を引き継いでくれる仲間を院内で増やしていくことです。
一人でも多くの患者さんが安心してケアを受け続けられるよう、人材育成と体制の充実に力を注いでいきます。
      

     

Beyond the White Coat

― 白衣の向こう側 ―

ここからは、医療や仕事の話から少し離れて、休日の過ごし方や好きなものなど、日常のひとコマから見えてくるスタッフの人となりや、ちょっと意外な一面をご紹介します。
   

パワーの源となる「勝負飯」や好きな食べ物は?

焼きたての「鮭のハラス」です!
皮目はパリッと、身は脂がのってジューシーなハラスに、炊きたての白ご飯を合わせるのが最高のご褒美ですね。
おにぎりの具にしても美味しいです。
       

最近ハマっていることは?

最近は「ミニマリスト」に憧れていて、お部屋の断捨離にハマっています(笑)。
モノを減らして定位置に戻す習慣がつくと、部屋が散らからず居心地が良くなるんです。
家で過ごすインドアな時間が、とても貴重なリフレッシュになっています。
     

オフの日のリフレッシュ方法は?

友人と行くホテルでの「アフタヌーンティー(ヌン活)」です!
非日常的な空間で、可愛いスイーツや綺麗なお料理をいただきながらおしゃべりするのが、心を満たす至福のひとときです。

お気に入りのプライベートグッズは?

私個人のリフレッシュ用として自宅で愛用している「シャクティマット(スパイク状の突起がついたマット)」も欠かせません。
刺激が強いためリンパ浮腫への効果や治療目的のものではなく、患者さんにはおすすめできないのですが……。
仕事柄、背中や肩が凝りやすい私にとっては、寝転がるだけでじんわりほぐれて体が軽くなる重宝アイテムです。
最初は少し刺激的ですが、慣れると今では手放せなくなっています。




関連リンク

   

読者アンケート実施中!

Googleサイト内検索